2010年12月30日木曜日

クメールポップの王者Preap Sovath

これまで聴いてきたアジア音楽の中で私が強烈な印象を持った国はフィリピンとカンボジアです。
フィリピンはまた後日紹介するとして、今回はカンボジアの大衆音楽"クメールポップ"をどうぞ。



今や大御所となりつつあるPreap Sovath(プリエップ・ソワット)と5年ほど前から人気が出だした Pich Sophea(ピッ・ソピーア)のデュエットナンバーです。

今回はプリエップ・ソワットに焦点を定めていきます。
1997年、21歳のときにCDデビューってことですからもう10年越え選手なんですねー。
私がワット・モハモントレイの坊さんから彼のことを教えてもらってカセットとVCDを手にしたのが2000年あたりですが、当時は彼が男前っていう感覚がよく分かりませんでした。
今改めて見てみると、永井大とサバンナの八木君を足して2で割ったような顔…やっぱりちょっと微妙か(笑)

軍隊上がりのややマッチョな体格(っちゅーても芸術隊)をみせびらかすように大きく開けた開襟シャツに天パな髪型、更にナルシストな歌い方にはかなり強烈な印象をもちましたが、カッコだけでなくルークトゥンやラムヴォンなどの演歌・民謡系の歌もしっかり歌える人ってことにもびっくりしたことを覚えています。

売り出し当時、カンボジアにはまだまだ内戦以前の音楽が主流でして、Sin sisamoth(シン・シーサモッ)やRos Sreisothea(ロス・スレイソティア)らが大人気だったような気がしますが、それとは別に洋楽やタイ、中国、日本などの近隣ポップナンバーの歌を歌ってリリースするカラオケシンガーというのも存在してました。

元々著作権などクソ食らえなアナーキーな状態ですから、自分で曲を作っていたらいつまでたっても音楽で食べていけないのが現状だったカラオケシンガーはとにかく歌って歌って歌いまくって稼ぐしかなかったみたいですね。
彼も1年で何千もの曲を歌ってリリースしてきたそうですから、そりゃあ好き嫌い言うてられません。
彼を王者という所以はそれなんです。

彼が歌ってた曲にはタイポップのヒット曲も多数ありまして「DoReMi」や「Om Pra Mah Pood」などのポップやらGOTのルークトゥンナンバーなんかもクメール語でカヴァーしてましてとにかくカンボジア国内での彼の人気は絶大でした。

前述にも彼のヘンなナルシストっぷりを書いてますが、決してイラっとこないナルシストっぷりだということを改めて付け加えておきます(笑)

ま、今ではそのナルっぷりと髪型も堂に入ってて違和感はありま…すかね?


こんな髪型のときもありました。

能天気なアナーキスト、陳 和美

久しぶり、且つ2010年最後のお話。
ここ数年はアジア音楽の中でも日本の昭和歌謡にハマってまして、そこから色々な糸を手繰り寄せていくと色んなものにぶち当たるのです。
その中のひとつが陳 和美。

衣装やら髪型などから昭和時代に活躍してはった人なんだろうというのは察しがつきますが、彼女が日本で活躍していたのかとかという詳細は分からずじまいです。
ただ、今回ネット徘徊の末に判明したことがあります。
彼女はおそらく日本の歌を中心に歌う歌手で、演歌やポップから特撮ヒーローものまでをこなすマルチシンガーってこと。
活躍時期は1970年代前半で中文詞を聴いてみると広東語っぽいから香港を中心に活躍してた人なんかなぁてことくらいです。

まずは、ひとつお聴き下さいな。



まるで迫ってくるショッカーを楽しみにしているようなワクワク感が伝わるような能天気さが魅力です。
更に「らいらーい…ヂャンッ」で、びつくりしました。

ま、この曲以外のしっとり系バラードも、彼女が歌うとこんなに能天気になってしまうのです。



これ、岡田可愛の歌らしいです。
岡田可愛といえば『サインはV』ですね。
岡田可愛って歌は正味の話うまいとは云えませんが、たどたどしい歌い方に情緒を感じさせてくれる歌い手でした。
たぶん、そのへんを長所として捉えられる歌がこれだったんでしょうが、陳 和美が歌うとこうなります。

更にこれ。



歌詞の意味を理解しているとは思えない能天気さからすると、日本では活躍してないんかもしれないですね。
他にもレッドバロンの主題歌やなんかも歌ってますが、一体これらの日本語詞の曲が当時の香港や中国大陸の間でどれだけ需要があったんでしょうかね。